PolyDrive に載っていないクラウドに届く

2026 年 9 月 18 日に rclone v1.75.1 で検証。所要 10 分ほど、 ターミナルで打つコマンドは 2 つです。rclone は当社のものではない独立した オープンソースプロジェクトです — このページは、その 2 つをどう組み合わせるか、 そして継ぎ目がどこに出るかを説明します。

PolyDrive の一覧には 47 件が並びます。必要なサービスがそこになくても、たいていは 入り口が残っています。rclone はおよそ 57 のストレージに対応し、 そのどれでも自分のマシン上の小さなサーバーとして公開できます。PolyDrive はその サーバーをマウントします。事業者と話すのは rclone、Finder 側を引き受けるのが PolyDrive です — サイドバーの項目、開いたときに中身が届くファイル、FUSE 層も カーネル拡張も不要。

まず一覧を確認してください。名前で載っていないサービスでも、直接 つながることは少なくありません。S3 互換ならエンドポイントを指定して S3 の項目に、WebDAV を話すなら WebDAV に 収まりますし、SFTP・FTP・OpenStack Swift の項目もあります。直接つなげるなら、 橋渡しより必ずそちらが上です。このページは、そこから漏れたものが対象です。

どのクラウド向けか

2026 年 9 月時点で、rclone が対応していて PolyDrive に項目がないサービスです。 名称は rclone のものに合わせています。

種類サービス
個人向けクラウド Proton Drive, iCloud Drive, Mail.ru Cloud, HiDrive, OpenDrive, SugarSync, Internxt, Filen, Drime, Gofile, Pixeldrain, put.io, premiumize.me, 1Fichier, Uloz.to, Linkbox
仕事・法人向け Files.com, Citrix ShareFile, Zoho WorkDrive, Quatrix, Enterprise File Fabric, Akamai NetStorage, Shade
インフラとアーカイブ Oracle Cloud Object Storage, QingStor, HDFS, Sia, Internet Archive, Google Photos, Cloudinary, ImageKit, and any plain HTTP directory listing (read-only)

rclone 側で実験的、あるいは読み取り中心と位置づけられているものがあり、ファイル名の 変更や更新日時の保持ができないものもあります。大事なデータを橋渡し経由で動かす前に、 rclone.org で該当事業者の ページを読んでください — Finder で出会う制限は、PolyDrive ではなくその バックエンドの制限です。

始める前に

手順 1 · rclone でリモートを設定する

Homebrew で rclone を入れるか、rclone.org からバイナリを取得します。

brew install rclone

続いて対話式のセットアップを実行します。名前、ストレージの種類、その事業者が必要とする 項目を順に聞かれます。OAuth の事業者ならブラウザが開き、トークンは自動で戻ってきます。

rclone config

リモート名は短くしておきます — 以下では mycloud。PolyDrive を 持ち出す前に、まず動くことを確かめます。

rclone lsd mycloud:

最上位のフォルダが表示されます。ここで失敗するなら、問題は rclone と事業者の間にあり、 持ち込む先は rclone 自身のドキュメントです。

手順 2 · 自分のマシンで公開する

コマンド 1 つで、リモートをループバック側の WebDAV サーバーとして公開できます。 このマシンからだけ到達できます。

rclone serve webdav mycloud: \
  --addr 127.0.0.1:8080 \
  --user polydrive --pass 'choose-a-long-password' \
  --vfs-cache-mode writes \
  --dir-cache-time 1m

各部分の役割:

オプション役割
--addr 127.0.0.1:8080 このマシンだけで待ち受けます。それ以外にすると、あなたのクラウドが ネットワークに出ます — セキュリティの注意を参照。
--user / --pass どちらも自分で決めます。指定しないと rclone は認証なしで公開し、 マシン上のどのプロセスからもドライブを読めてしまいます。
--vfs-cache-mode writes 書き込み中のファイルをいったんローカルディスクに置き、完成してから アップロードします。これがないと、ファイルの長さを先に知る必要がある バックエンドは Finder の書き込みを拒みます。
--dir-cache-time 1m rclone が自分のフォルダ一覧をどれだけ信用するか。既定の 5 分は、別の場所で たった今追加したファイルを待つには長い時間です。

そのターミナルはひとまず開いたままにしておいてください — 動かし続けるで常設にします。

手順 3 · PolyDrive から接続する

PolyDrive でクラウドドライブを追加し、WebDAV を選んで入力します。

ドライブ名は「rclone」ではなく事業者名にしておきます。Finder のサイドバーにその名前で 出るからです。ここから先は他の PolyDrive ドライブと同じで、ファイルはすぐ一覧に並び、 中身は開いたときに届き、フォルダをオフラインで保持することもできます。

この経路は想定ではなく実測済みです。PolyDrive の WebDAV エンジンで rclone serve webdav に対して一連の往復 — 一覧、フォルダ作成、 書き込み、範囲読み取り、全体読み取り、名前変更、削除 — を通し、すべて成功 しています。rclone serve sftp も同様です。最終実行は 2026 年 9 月 18 日、 rclone v1.75.1。

1 つのドライブに複数のクラウド

rclone は複数のリモートを 1 本のツリーとして見せられます。PolyDrive はそれを 1 つの ドライブとしてマウントします。各リモートは最上位のフォルダになります。

rclone config create everything combine \
  upstreams "proton=proton: archive=ia: work=filescom:"

rclone serve webdav everything: --addr 127.0.0.1:8080 \
  --user polydrive --pass 'choose-a-long-password' --vfs-cache-mode writes

結合リモートの最上位は名前の一覧であって、フォルダではありません。 proton/work/ の中なら読み書き・名前変更・削除は 自由ですが、その隣にファイルやフォルダを作るのは失敗します。rclone はフォルダを 受け付けたうえで、書き込みを競合として拒みます。1 階層下で作業してください。

動かし続ける

rclone serve 自体にバックグラウンドで動く仕組みはありません。macOS では launchd に任せて、ログイン時に起動し、落ちたら再起動させます。以下を ~/Library/LaunchAgents/net.example.rclone-bridge.plist として保存します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE plist PUBLIC "-//Apple//DTD PLIST 1.0//EN"
  "http://www.apple.com/DTDs/PropertyList-1.0.dtd">
<plist version="1.0">
<dict>
  <key>Label</key>      <string>net.example.rclone-bridge</string>
  <key>ProgramArguments</key>
  <array>
    <string>/opt/homebrew/bin/rclone</string>
    <string>serve</string>
    <string>webdav</string>
    <string>mycloud:</string>
    <string>--addr</string>          <string>127.0.0.1:8080</string>
    <string>--user</string>          <string>polydrive</string>
    <string>--pass</string>          <string>choose-a-long-password</string>
    <string>--vfs-cache-mode</string><string>writes</string>
    <string>--dir-cache-time</string><string>1m</string>
  </array>
  <key>RunAtLoad</key>  <true/>
  <key>KeepAlive</key>  <true/>
</dict>
</plist>

読み込ませます。

launchctl load ~/Library/LaunchAgents/net.example.rclone-bridge.plist

このファイルにはパスワードが平文で入るので、自分だけが読めるようにしておきます (chmod 600)。Intel Mac では rclone のパスは /usr/local/bin/rclone です。どちらかは which rclone で 分かります。NAS なら、本体と一緒に再起動するコンテナで同じコマンドを動かし、 PolyDrive の接続先は 127.0.0.1 ではなく NAS のアドレスにします — ネットワークをまたぐ場合は、先にセキュリティの注意を 読んでください。

使い心地を決める設定

書き込み: --vfs-cache-mode

マウントして使うなら writes が正解です。rclone は届いたファイルをまず キャッシュ用ディレクトリに書き、閉じられた時点でアップロードします。長さの分からない ストリームを受け取れないバックエンドへ Finder からコピーできるのは、これがあるから です。代償はディスクで、40 GB のコピーには一時的に 40 GB の空きが要ります。 空きが厳しければ --vfs-cache-max-size 20G で上限を付けます。 full は読んだ内容もキャッシュするので、同じファイルを何度も開くなら 有利、大きなライブラリを一度だけ舐めるなら不利です。

新しさ: --dir-cache-time

事業者のアプリやサイトから追加したファイルは、rclone の一覧が期限切れになって初めて Finder に現れます。PolyDrive の Refresh from Server(サーバーから 再読み込み)は rclone に尋ね、rclone はそのキャッシュから答えるので、待ち時間は 縮みません。1 分が手頃な妥協点です。任意のタイミングで消したい場合は、serve の コマンドに --rc を足して rclone rc vfs/forget を実行します。

rclone serve s3 は使わないこと

いかにも自然な選択に見えて、唯一うまくいかない橋渡しです。PolyDrive はオブジェクト ストレージ流にフォルダを作ります — ゼロバイトのマーカーオブジェクトです — が、rclone の S3 サーバーはそのマーカーを、フォルダ名を持つ普通のファイルに してしまいます。結果として、そのフォルダへの最初の書き込みは、同名のファイルが すでにあるとして失敗します。2026 年 9 月 18 日に検証・再現済み。WebDAV か SFTP を 使ってください。

WebDAV ではなく SFTP を使う

SFTP は考え方は同じで、プロトコルだけが違います。WebDAV で事業者の挙動がおかしいときに 試す価値があります — 変わったファイル名やタイムスタンプは、こちらの方が 残りやすい傾向です。

rclone serve sftp mycloud: \
  --addr 127.0.0.1:2022 \
  --user polydrive --pass 'choose-a-long-password' \
  --vfs-cache-mode writes

PolyDrive では SFTP を選び、Server Address (サーバーアドレス)に 127.0.0.1:2022 を入れて、ユーザー名とパスワードは 同じものを使います。rclone はホスト鍵を初回起動時に生成して保持するので、PolyDrive が 覚えた鍵はそのまま有効です。

トラブルシューティング

症状役割対処
PolyDrive がまったく接続できない serve コマンドが動いていない、または別のポートで動いている ターミナル、または launchctl list | grep rclone を確認し、ポートが一致しているか見る
認証に失敗する --user/--pass missing or different 両側が完全に一致している必要があります。空白や $ を含むパスワードは引用符で囲みます
ドライブはマウントされるが中身が空 サブフォルダを公開しているか、リモート自体が空 rclone lsd mycloud: を実行し、ファイルのあるパス(例: mycloud:Documents)を公開する
ファイルのコピーが失敗する そのバックエンドが長さ不明のストリームを受け付けない --vfs-cache-mode writes を追加する
別の場所で追加したファイルが出てこない rclone のフォルダ一覧がまだ期限切れになっていない --dir-cache-time を短くするか、rclone rc vfs/forget を使う
結合リモートの最上位で書き込みが失敗する その階層はリモート名の一覧であって、フォルダではない 名前の付いたフォルダの中で作業する
名前の変更が失敗する、日時がずれて返る その rclone バックエンドが対応していない rclone.org の該当ページを確認してください。PolyDrive 側で変えられることはありません
Mac がスリープすると止まる serve のプロセスも一緒に止まった 常時稼働のマシンで橋渡しを動かすか、復帰後にドライブを接続し直す
大きなコピーの途中でディスクが一杯になる 書き込みキャッシュがファイル全体を置くため --vfs-cache-max-size を指定し、動かす最大ファイル分の空きを確保する

頼る前に知っておくこと

どれを内蔵すべきか教えてください

一覧に並ぶサービスは、どれも誰かの要望から入りました。橋渡しでお使いのものがあれば、 [email protected] までサービス名をお知らせ ください — 優先順位はそうやって決まります。橋渡し自体が Finder でおかしな 動きをする場合は、エラーダイアログの Copy Diagnostics(診断情報を コピー)の内容を添えてください。トラブルシューティングも あわせてご覧ください。

買い切り、サブスクリプションなし。macOS 15.4 以降が必要です。

Mac App StoreでPolyDriveをダウンロード